整備士が辞めない工場の共通点|採用より定着に効く打ち手
整備士の採用難は構造的なものです。整備学校の志望者が減り、有資格者の高齢化が進むなか、募集で解決しようとしても限界があります。
辞める理由は賃金だけではない
現場で聞かれる離職理由は、おおむね次の4つに集約されます。
- 将来が見えない:この工場にいて、5年後どうなるのかが分からない
- 評価が不透明:頑張っても給料が変わらない、基準が分からない
- 労働環境:夏の暑さ、冬の寒さ、休憩スペース、更衣室
- 技術の停滞:新しい車に触れられない、教えてくれる人がいない
POINT賃金は重要ですが、上げ続けることはできません。一方で上の4つのうち3つは、大きな費用をかけずに改善できます。
打ち手1:評価と昇給の基準を書き出す
「社長の裁量」で決まっている状態を、紙一枚でよいので基準にします。資格取得、担当できる作業範囲、後輩指導。何をすれば給料が上がるのかが見えるだけで、定着は変わります。
打ち手2:資格取得を会社が後押しする
- 受験費用・講習費用の会社負担
- 勉強時間の確保(就業時間内での配慮)
- 取得後の手当を明示する
整備士にとって資格は自分の市場価値そのものです。会社が投資してくれるという事実が、そのまま定着理由になります。
打ち手3:環境に手を入れる
スポットクーラー、休憩室の整備、更衣室とロッカー、トイレの改修。「そんなことで」と思われがちですが、日々の不満が積み重なるのはこうした部分です。設備投資として補助金の対象になる場合もあります。
打ち手4:新しい技術に触れる機会をつくる
ADAS、EV・HV、スキャンツールの活用。学べる環境があることは、若手にとって強い定着理由になります。逆に「うちは古い車しか触らない」という状態は、将来性の不安に直結します。
承継・M&Aでは人材が最も評価される
買い手が整備工場を取得する最大の動機のひとつが「整備士の確保」です。有資格者が定着している工場は、それだけで高く評価されます。
譲渡の条件として「従業員の雇用継続」を明示することは可能です。人を大切にしてきた工場ほど、その姿勢を条件に反映させる価値があります。