廃業と売却はどちらが得か|整備工場の出口を数字で比較する

逆算経営 引退からの逆算経営 2026.07.21 公開

後継者がいないと分かった時点で、多くの経営者が「廃業」を前提に考え始めます。しかし数字を並べてみると、売却のほうが有利なケースが少なくありません。

廃業には「出ていくお金」がある

廃業は、単に営業をやめることではありません。以下のような費用が発生します。

項目内容
設備の処分費用リフト、テスター、塗装ブースなどの撤去・廃棄。買い取りではなく費用がかかる場合が多い
原状回復賃借物件の場合、コンクリート土間や油分の除去を含む原状回復義務
在庫の処分部品・油脂類の廃棄。産業廃棄物として処理費用が発生
従業員の退職金整理解雇にともなう割増を求められるケースもある
解散・清算の登記費用法人の解散手続きと税理士・司法書士への報酬
土地・建物を自社所有している場合は売却益が出ることもありますが、賃借の場合は原状回復が重くのしかかり、持ち出しになるケースが目立ちます。

売却では「価値として評価される」ものがある

廃業では処分費用になるものが、売却では逆に評価対象になります。

  • 設備:リフト、アライメントテスター、塗装ブースは、そのまま使える状態なら買い手にとって価値があります
  • 認証・指定工場の資格:新規に取得するには設備要件・人員要件・審査期間が必要です。既存の資格は時間を買う価値があります
  • 整備士:採用難のなか、在籍している有資格者は最も評価されやすい資産です
  • 顧客基盤:車検の入庫台数と継続率は、将来の売上として評価されます

比較するときの考え方

単純化すると、次の差額が「売却を選ぶことで得られる金額」になります。

比較式(売却時の譲渡対価 - 売却にかかる費用)-(廃業時の残余財産 - 廃業にかかる費用)

加えて、従業員の雇用が継続すること、取引先に迷惑をかけずに済むこと、個人保証を解除できる可能性があることなど、金額に表れない差もあります。

まずは自社の価値を知ることから

この比較は、自社にいくらの値が付くのかが分からなければ始まりません。決算内容だけでなく、認証区分・整備士数・入庫台数といった業界固有の指標を織り込んだ試算が必要です。試算そのものは無料でお引き受けしていますので、判断材料としてお使いください。

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